shasetu’s diary〜新聞5紙の社説を要約〜

新聞5紙の社説を要約し、読み比べできるようにしました

令和3年7月20日の社説

毎日新聞

『電動キックスケーター 安全最優先のルール必要』

電動キックスケーターが注目されている。交通ルールのあり方を検討していた警察庁有識者会議は、中間報告で時速15キロ以下ならば自転車に近い扱いと結論づけた。近年、自転車に関連する事故が増加傾向にある。今後新たな乗り物が増えていくだろう。これまでの自動車優遇の道路政策を改めるべきだ。

『五輪「バブル方式」に穴 主催者の危機意識足りぬ』

選手らを外部と遮断した環境に起き、感染から守る「バブル方式」の欠陥が顕在化している。関係者の感染発覚や濃厚接触者の出現が相次ぐ。そんな中、IOCのバッハ会長などは楽観的な見方を崩さず、現状を甘く見ている。組織委がバッハ氏を招き開いた歓迎会場の外では、抗議デモが起こった。国民の不安に配慮した大会運営が求められる。

 

朝日新聞

『コロナ第5波 命を救う準備を急げ』

変異株の感染拡大により、第5波が到来している。ワクチン供給や酒類提供停止などで、政府のコロナ対策への国民の不信感は募った。菅首相は希望的観測を発言するばかり。次の感染拡大に備え、病床確保など医療体制を立て直すため、支援策等を国会で審議すべきだった。が、国会は早々に閉会。五輪開催国の責務として、十分な医療体制を整えるべきだ。

『海外の日本人 帰国支援の体制強化を』

変異株が流行するインドネシアに在住する日本人の帰国が課題となっている。受け入れの障壁となっているのが、日本政府が行う入国制限だ。検疫や入国後の待機施設が不足している。民間企業が特別便で社員を帰国させたことを契機に、政府への対応の声が上がった。首都圏以外の空港での受け入れなどの方策も検討すべきだ。官邸が主導し、課題解決に当たるよう求める。


【読売新聞】

『英のコロナ規制 全面解除に懸念は拭えない』

英政府がイングランド全域で、コロナ感染対策のほぼすべての規制を撤廃した。撤廃に踏み切ったのは、国民の半数が2回目のワクチン接種を終えたためだ。ジョンソン首相が国民の生活の正常化を進める最適な時期と撤廃を判断した。しかし、このところの英国の新規感染者数は急増中だ。懸念は残る。死者数を押さえることと、日常生活の回復との両立は各国の共通課題だ。

 『日銀の脱炭素策 効果的な側面支援となるか』

日本銀行が、温暖化対策に取り組む企業に、融資や投資をしやすくする資金供給策骨子案をまとめた。民間金融機関への貸付金利を0%にする。脱酸素社会への支援策と見られる。ただ、中央銀行の本来の役割は物価と金融システムの安定だ。中立性を確保し、経済を歪めることがあってはならない。投資判断する金融機関側には十分な情報開示を求めるなどの措置が必要だ。

 

産経新聞

『五輪観客問題 選手の声に耳を傾けたい』

原則無観客開催が決まった東京五輪。選手らからは観客の前でプレーしたいとの声が上がっている。バスケットボールの強化試合は、緊急事態宣言下の沖縄において有観客で行われた。スーパーコンピュータ「富岳」のシミュレーション結果は、1万の観客でも感染対策をとれば、感染リスクはゼロに近いというものだった。開催自治体の小中高生をスタンドに招待することを検討してほしい。子供たちの真剣なまなざしは、国内外のすべての選手たちに力を与えるはずだ。

『ワクチン不足 接種スピードを落とすな』

新型コロナワクチン供給が滞り、接種を一旦とりやめる自治体が相次いでいる。菅首相は、月内にも5割を超える国民が、1回目の接種を終えるとの見方を示した。ただワクチンが届かず、混乱する事例は数知れない。自治体の熱意に国がブレーキをかけるのはおかしい。迅速なワクチン接種を行いため、供給量を確保し続けることが国の責務だ。

 

東京新聞

『米アフガン撤退 後始末が残されている』

来月末の米軍のアフガニスタン完全撤退を前に、反政府勢力タリバンが支配地域を急速に広げている。アフガニにスタン政府軍が隣国を越境した事件も起きた。米国は約二十年間、国際テロ組織アルカイダを保護しているという見方で、タリバン政権を軍事的に崩壊させた。撤退を機にテロの温床になるとの見方は早計だ。むしろ懸念は撤退に伴う混乱の方だ。米国には「民主化」を理由に介入してきた後始末をつける責務が残っている。

 『コロナと税収増 格差の是正へ配分を』

国の2020年度の税収が過去最高を記録した。コロナ禍で経済成長がマイナスにも関わらずだ。その背景には、深刻な所得格差の広がりがある。巣ごもり消費から好決算が相次ぎ、法人税の増収につながった。また、富裕層の所得増加によって所得税が増えた。一方、低所得者に負担が大きい消費税の税収も増えた。社会の分断を防ぐ観点からも、所得再分配政策は必要である。