shasetu’s diary〜新聞5紙の社説を要約〜

新聞5紙の社説を要約し、読み比べできるようにしました

令和3年7月21日の社説

朝日新聞

『通学路事故 子どもの命、守る責任』

千葉県八街市で起きた小学生が死傷したトラック事故で、千葉地検は運転手を危険運転致死傷罪で起訴した。飲酒運転の厳罰化の効果は一定程度はあったが、犠牲者は未だに絶えない。「緑ナンバー」の事業者には飲酒検査が義務付けられ、道路交通法には「安全運転管理者」の設置規定がある。呼気からアルコールが検出されるとエンジンがかからない装置も開発されている。総合的な交通政策で、子どもを守ることが大人の責務だ。

『小山田氏辞任 五輪理念ますます遠く』

東京五輪パラリンピックの楽曲担当者だった小山田氏が辞任した。虐待や暴行ともとれるいじめ行為を、過去に雑誌のインタビューなどで語っていた。人間の尊厳、差別の否定を掲げる五輪の式典に、こうした人物が関わることがふさわしいとは思えない。問題とせず、続投の意向を持ち続けた組織委の対応も理解不能だ。事態を統御できず、説明責任を果たせない組織委のもと、混迷と不信と不安が残る中、「平和の祭典」が幕を開けた。

 

産経新聞

『文氏の訪日断念 首脳会談のときではない』

韓国の文在寅大統領が訪日を断念した。関係悪化は、文政権が慰安婦問題や徴用工訴訟について、国家間の約束を踏みにじる反日を続けてきたからだ。五輪選手村での福島県産食材の使用を懸念し、自国食材の給食センターを設けた事例は、科学的根拠に欠け、悪意とも受け取れる。豊臣秀吉朝鮮出兵に関する反日の横断幕は、五輪憲章違反としてIOCが撤去を勧告した。会談は、行動を伴う形で韓国が反日を改めた後で良い。

照ノ富士横綱へ 角界はもっと危機感持て』

大関照ノ富士が、第73代横綱に昇進する。序二段まで番付を下げたが、驚異的な復活を遂げた。名古屋場所では、優勝を逃したものの14勝1敗の成績は立派だ。一方、進退を欠けた白鵬は、全勝優勝こそ手にしたが、感情むき出しの振る舞いや、勝つことだけに固執した取り口は、見るに堪えない。神事「相撲」への冒涜だ。全勝優勝は上位陣の層が薄いことを物語る。日本相撲協会は危機感を持って、対策に取り組むべきだ。

 

東京新聞

『日韓会談見送り 意思疎通を途切らすな』

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が東京五輪に合わせた訪日と、菅義偉首相との会談を見送った。両国の意思疎通が滞っているのは、歴史問題を巡り、日本側が韓国側に対し、受け入れ可能な解決策を提示するよう求め、首脳会談の開催を見送ってきたからだ。両国間では元徴用工や元慰安婦、対韓輸出などの懸案事項が残る。政府間で生まれた対話の機運を広げ、関係改善の道を探ってほしい。

『開会直前の五輪 迷走生んだ無責任体質』

東京五輪開会式で楽曲制作担当の小山田圭吾氏が辞任した。学生時代、長期に渡っていじめを行っていたことが理由だ。音楽紙に自慢気に話し、その無反省ぶりに、ネットではたびたび批判されていた。人選した大会組織委員会の脇の甘さと無責任ぶりが露呈した。問題発覚後、組織委は彼を擁護し、五輪担当相は説明責任を果たさなかった。感染対策を厳格に講じるためにも、大会の運営体制を早急に立て直す必要がある。

 

毎日新聞

『文大統領の来日見送り 対話の努力続けるべきだ』

オリンピック開幕に合わせた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の日本訪問が見送られた。五輪での会談は儀礼的なものだが、両国間の現状を考えれば、好機を逸したのは間違いない。元慰安婦・徴用工問題で韓国側が歩み寄らなければ、日本も動かないとの姿勢を崩していない。外交は利害の対立があれど、交渉で落とし所を探るのが本筋だ。東アジアの地政学的安定のために、両国の協力は欠かせない。両国に対話の努力を求める。

『五輪楽曲担当者が辞任 組織委の人権意識を疑う』

東京オリンピック開会式の楽曲制作を担当していた小山田圭吾氏が辞任した。過去のインタビューで、障害がある同級生をいじめていたことを語っていた。組織委は、森喜朗氏の女性蔑視発言など、人権への配慮に欠けていると言わざるをえない。東京オリンピックは「多様性と調和」を理念に掲げている。組織委の人権への配慮に欠けた体質を改めなければ、五輪と国民の距離は開くばかりだ。

 

【読売新聞】

『五輪外交 ともに困難を乗り越えたい』

東京五輪の開会式に合わせ、各国用心が来日する。韓国の文在寅大統領は、土壇場になって来日を見送った。日韓関係の改善に向けた対話の機会が失われたのは残念だ。韓国側は、選手村で福島県産品を食べないよう指導し、また、反日的な横断幕を掲げたという。政治的な主張を五輪に持ち込まないよう配慮を求めたい。新型コロナウイルスの世界的な流行阻止に向け、管首相には会談で、国際協調の機運を高めるよう努めてほしい。

『コロナ再拡大 「第5波」への具体策打ち出せ』

新型コロナウイルス流行から1年半、緊急事態宣言を出し、国民の行動を制限する手法は限界にきている。ワクチン接種も供給が滞る。政府として、いつまでに何をやるのか、具体的な計画を策定することが大切だ。ワクチン一辺倒ではなく、検査体制の拡充や科学的な根拠に基づいた経済活動の推進、新手法による感染状況の把握など、政府には新技術も取り入れながら、感染対策に万全を期してほしい。